外車は故障が多い?。ホンダは故障が少なく、カワサキは故障が多い?…など噂・都市伝説をファクトで解決!
多くなりつつある会議や営業などの手早い移動手段に二輪車導入を検討している今、どのメーカーがよいか吟味しているのだが、伝統と信頼から世界で愛されているトライアンフが候補に上がって、試乗やイベント訪問を重ねながら車種選びの最中、BMW乗りのライダーから「Triumphは壊れやすい」との指摘を受けた。その根拠を聞くと…
- BMWのディーラー、代理店がそう言っていた
- 中古トライアンフ乗りのツーリング仲間がそう言っていた
という理由…。
いずれの根拠も信憑性に乏しい。ディーラーがライバルメーカーを悪くいうのは当然だろうし、中古バイクが故障しやすいのは当たり前(オークションなら尚更)であるだからだ。国際ロードレース選手権(moto2)で2019年から独占エンジンサプライヤーの資格を得たトライアンフ(動画参照)の品質が悪いはずがない。BMWにトラ故障車が多く相談にくるのが事実だとして、外車が故障した立場に立つとカテゴリ違いのハーレーダビットソンには相談しにくいだろうから、同じ欧州車であるBMWにトラは相談しやすいことが、外車の中では故障車が多いと認識されているのではないだろうか。まずはそんな仮説を立てて調べてみることにした。
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故障情報をネットで集めたが信憑性なし
口コミを参考にしようとググってみたが、想像通り根拠のないネガティブ情報が散乱し、案の定の有様だった。こういった類の調べ物にはネットは向かない。何か参考になる数値はないものか、考え、リコール台数が車両品質の参考になるのではないかと。発表されているリコール情報を元に、各メーカーの信頼度を比較することにした。
発表!主要メーカーリコール台数
もちろんリコール数が品質と直接結びつくものではない。メーカーが公開したくないであろう不具合を公にするというその数は、透明度のあるメーカーの値とも受け取れ積極的な改善の姿勢を表してもいるからだ。一方、不具合があるまま販売されるのは命を預けているライダーにとってとても恐ろしいことだ。
さて、公表されている数値をみて言えることは、トライアンフが故障が多い、といえる数字がまったくない。一方、リコールが多いメーカーはどこであったのか一目瞭然、このとおり噂が描くイメージと全く正反対であった。これがファクト(事実)。
2017年度リコール台数比較表(9/25現在)
BMW | ハーレー | Triumph | インディアン | KTM | キムコ | ドゥカティ | スズキ | カワサキ | ヤマハ | ホンダ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1,271 | 1,100 | 252 | 143 | 566 | 1,958 | 25,965 | 811 | 5,291 | ||
285 | 19,907 | |||||||||
980 | ||||||||||
17,650 | ||||||||||
1,271 | 1,100 | 252 | 143 | 566 | 0 | 1,958 | 44,880 | 811 | 25,198 | 0 |
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2016年度リコール台数比較表
ちなみに2016年度のリコール台数も調べてみた。ご参考に。
BMW | ハーレー | Triumph | インディアン | KTM | キムコ | ドゥカティ | スズキ | カワサキ | ヤマハ | ホンダ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1,288 | 1,799 | 759 | 566 | 319 | 228 | 4,040 | 1,335 | 20,166 | 13,246 | |
1,172 | 138 | 13,934 | 1,377 | 3,069 | 5,176 | |||||
14,001 | 12,025 | 32,650 | 130,296 | |||||||
7,476 | 9,942 | 18,157 | ||||||||
118 | 15,072 | 2,132 | ||||||||
13,310 | 251 | 7,649 | ||||||||
4,836 | 51,503 | |||||||||
2,568 | ||||||||||
1,288 | 2,971 | 759 | 0 | 566 | 319 | 366 | 52,879 | 14,737 | 85,986 | 230,727 |
「信頼性が高いオートバイメーカートップ10」を参考にしてみると
アメリカのモータスポーツウェブニュース「コンシューマーレポート」が、11000人のモーターサイクルユーザーを対象に、4年間乗った体感故障率のアンケートを実施、その統計が今年ニュースになった。上にあげたリコール台数の統計と矛盾する点があるのは、リコール台数以外にメーカーが不具合とみとめてない事例が多くあるのだと想像できる。対して、こちらはライダーが感じた故障率ということで、より現実に近いものになることで参考になる。
結果は、日本勢がトップ4が首位を独占。ここから想像できるのは、日本メーカーはカスタマーの苦情を聞いてリコール台数を増やし無償修理のにつなげている実直さ、ということか。アメリカ人1万人規模のアンケードなので、これが事実の全てだとは言えないだろうが、参考になるアンケートだと思う。
Consumer Reports – Who makes the most reliable motorcycle?
ブランド | 予想故障率 |
---|---|
Yamaha/Star | 11% |
Suzuki | 12 |
Honda | 12 |
Kawasaki | 15 |
Victory | 17 |
Harley-Davidson | 26 |
Triumph | 29 |
Ducati | 33 |
BMW | 40 |
Can-Am | 42 |
まとめ統計やアンケートを見る限り「トライアンフの故障は多くはない」
噂や都市伝説は信じたらダメ。
周りの噂を俯瞰してみてほしい。その情報を広げた人の悪意の意図が隠されているのがほとんど。「トライアンフやカワサキが壊れやすい」との噂は、リコール台数を見る限り信頼度が低い、との結論となった。リコール台数が人気メーカーと比例しているから、人気がありたくさん売れているから故障台数も多い、のと指摘には、販売台数にリコール台数を割った数値をリコール比率として出すべきだが、その必要もないほどの結果だったので、ここでは省きます。ここ2年という短期間の数値であることも断っておきます。あくまで参考までに。
資料:「バイクブロスマガジンNEWS」リコール情報に関する一覧